「真犯人の遺体が欲しければ見つけてみろ。さあ、遺体捜しの始まりだ」…。下村敦史さんの「コープス・ハント」を読む。
女性連続殺人鬼、浅沼聖悟は、八人の女性を殺害した罪で裁かれ、
死刑が確定した。
だが結審の場で浅沼は、八件のうちの一件、
水本優香の殺人は自分の犯行ではなく、
自分は真犯人を知っており、すでに真犯人を殺害、
「思い出の場所」に埋めたと告白する。
彼の衝撃の告白に世間は騒然となり、
「遺体捜し」が始まる。
引きこもりの中学生、宗太は、
ユーチューバーの先輩である「にしやん」に誘われ、
もう一人のユーチューバー、セイと三人の遺体探しに乗り出す。
一方、水本優香の事件に真犯人の存在を疑う女刑事、折笠望美は
疑惑を向けていた三人組の男たちを執拗に追いかける…。
片や「スタンド・バイ・ミー」を彷彿させる、少年たちの冒険物語、
そして、浅沼の告白に、さらに突っ走る女刑事、
どこかチグハグな二つの視点が、最後には融合して、
真実が明らかになる。
ただ、二つの視点のギャップが大きく、
ガクンガクンとつんのめる感じで、読むスピードが削がれ、
一気呵成に、というわけにはいかなかった。
中心人物としての視点をどちらにおいていいのか、
宗太のキャラ、折笠のキャラ、どちらも今一つで
共感を寄せるまでには至らなかった。