爆弾を身に付けられ、マラソンさせられた女性が、ゴール目前で爆死…。戸南浩平さんの「炎冠 警視庁捜査一課七係・吉崎詩織」を読む。。
女刑事には、よく、頑固で融通のきかない
中年のオッサン刑事が相棒につく。
そういった刑事モノは、最初は、相手を忌々しく思いながら、
そしてギクシャクしながらも、徐々にコンビの息が合ってくる、
そんなプロセスが楽しめる。
この作品でも、同じ楽しみが味わえる。
拉致され、体に爆弾を巻き付けられた女性、江上理沙子が、
渋谷、ハチ公前で爆死した。
彼女は、「死のマラソン」を強要され、
設定された時間内にハチ公前に到着できなかったため、
爆弾が起動したということが、捜査で判明する。
そして、捜査を担当する捜査一課七係が担当する捜査本部に
送られてきた犯行声明から、犯行が続くことが予測された。
七係に属する吉崎詩織は、ベテラン刑事、堀田と組み、
犯人の背中を追うことに。
予測通り、第二、第三の事件が起こり、
犯人によって最後に選ばれたのが、陸上選手だった詩織と
浅からぬ因縁を持つ、東京五輪マラソン候補、樋口舞子だった…。
リアリティは別にして、なかなかインパクトのある設定で、
犯人の特定、そして追い詰めるまで、ノンストップで楽しめた。
やっぱり、詩織と堀田の、噛み合わなさそうで噛み合ってくるコンビが
絶妙で面白い。