唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

霧崎遼樹さんの「裁かれざる殺人 警視庁死番係」を読む。

所轄署の刑事、辰野は捜査一課へ抜擢された。

だが、配属されたのは、優秀だが、一筋縄ではいかない

クセ者ばかりが集まる強行班第四係、

通称「死番」係だった。

 

辰野を中心に物語は進んでいくのだが、

次から次へと魅力的な刑事が登場する。

 

例えば、班長を務める辻平。

ザ昭和といった感じの刑事だが、

気に食わなければ、上の者だろうと食って掛かる。

 

篝竜(かがり りゅう)という、

粋な名前の女性刑事。

辰野は「お竜さん」と呼ぶ。

 

若手刑事の高森。不愛想で、

殆どしゃべらない。動物的なカンがあり、

単独捜査を押してでも、犯人を逮捕する。

ついたあだ名が「狂犬」。

 

そして極め付きは、係長の旭という男。

 

キャリアでありながら、死番係の係長なのは、

どんな背景があるのか、と辰野は不思議に思う。

 

常に仏頂面で、つかみどころがない。

本心を垣間見せることもない。

 

だが、そそる存在である。

 

結末に向けて、彼の魅力は全開になる。

 

この、死番係の活躍を

もう少し見ていたい気がする。

 

上野公園の一角で男の死体が発見された。

段ボールをかぶせられていたため発見が遅れたが、

被害者は井端剛志と判明。

十代の女子に声をかけては売春を斡旋するなど、

小悪党とも言える男だった。

 

携帯電話の記録から、野分藤雄という男と

最後に連絡を取っていたことが分かったのだが、

辰野は十数年前の交番勤務時代に、野分とは面識があった。

「ちょっとお人よしで、損ばかりしている」、そんな

印象だった。

 

人は変わるのか。

 

被害者の周辺に怪しい人物は浮かんでこず、

野分に疑いの目が向けられる。

捜査情報がマスコミにリークされ、

いつしか野分は容疑者として、スクープ合戦の渦の中にいた。

 

 

 

裁かれざる殺人―警視庁死番係 (徳間文庫)

裁かれざる殺人―警視庁死番係 (徳間文庫)