香納諒一さんの「刑事群像」を読む。
大河内、渡辺、石嶺といった刑事たちの活躍が
楽しみな捜査一課強行班七係「小林班」シリーズも三作目。
今回は、同じ捜一の中本班との合同捜査となる。
小林班のデカ長、大河内と中本班のデカ長、庄野との
連係プレーは読みごたえがある。
ただ、圧倒的迫力に一気読みしてしまった「贄の夜会」と比べると、
少々物足りなさを感じてしまう。
物足りなくはあり、犯人の粘っこい悪意はそれほど感じられないが、
刑事たちの、コツコツと事実を積み上げていく捜査は
いつも通りで読むほうも力が入る。
大田区の路上に遺棄された女性の全裸死体。
被害者は、経営コンサルタントの坂上実咲と判明する。
捜査が進むうち、被害者は複数の男性と関係を持っていることも
わかってくる。
当初、痴情のもつれによる犯行だと筋読みされていたが、
坂上が、二年前に発生したプライベートバンカー殺人事件と
関連があることが判明し、さらにその事件で負傷し退職した
元刑事も絡んできたことで、事件は複雑な様相を呈してくる。