唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

麻野涼さんの「県警出動 黒いオルフェの呪い」を読む。

 

県警出動: 黒いオルフェの呪い (徳間文庫)

県警出動: 黒いオルフェの呪い (徳間文庫)

 

 

 

作品に登場する群馬県警の刑事たちは誰もが地味ではあるが、

素朴で好感が持てる。

 

悪徳刑事のストーリーもスリルがあって面白いが、

文字通り、「靴底をすり減らし」、一つ一つ

事実を積み重ね、地味な捜査をコツコツとこなしていく

刑事たちの物語は、また違ったスリルが味わえる。

 

この「県警出動シリーズ」の財津は、

「着た切り刑事」と異名をとるほどで、

ホームレスのほうがまだしもと思わされるような

みすぼらしい風体だそうだ。

 

さらに、方言丸出しの会話は、

ストーリーのスピード感をそぐような気もしないでもないが、

そもそも、情報を丹念につぶし、

我慢して我慢して捜査を続ける刑事たちの話なのだから、

かえって、読むこちらも、ゆっくり、話を追っていける。

 

また、財津の相棒である塩野も、

尊敬する財津にならって、ヨレヨレの格好を押し通している。

 

なんで、こんな設定になったのか、興味が湧くところだ。

 

群馬県内の湖で、沖縄からやってきた元米兵、

ライアン・ミラーの遺体があがった。

事故なのか、あるいは自殺か、事件性はないのか、

なぜ、彼は沖縄からやって来たのか…。

 

彼は生前、日本人の妻に「金の心配はするな。

黒人のオルフェが微笑んでくれる」という謎の言葉を

残していた。

 

捜査が進むに従い、ライアンは、

ブラジル移民の父とブラジル人の母を持つ

歌手、クラウジア明美を気にしていたことが判明する。

 

さらに、彼女のヒット曲の歌詞には、「黒いオルフェ」という

言葉があった。彼女とライアンとの関係は…。

 

コツコツと読み進めてきた結末、事件の事実関係の説明が

少々、くどかったかも…。