美術犯罪に挑む、たった二人の捜査斑…。門井慶喜さんの「こちら警視庁美術犯罪捜査斑」を読む。
警視庁に新設された、たった二人の捜査斑。
美術にまつわる犯罪の謎を解く。
美貌の捜査官、岸すみれと、
新米刑事の三田村のコンビが活躍、といいたいところだが、
活躍するのは岸ばかり。
新米で、美術のことはからっきしというのは仕方ないにしても、
三田村のあまりのポンコツぶり。
ここまでポンコツじゃなくてもよかったんじゃないかしら。
とはいえ、優秀な岸だが、
アクが強くないところが、美術の蘊蓄を際立たせており、
落ち着いて筋を追える。
五編の連作短編モノ。
あまり謎めいた事件はなく、
ある美術品販売会社との対決が主に。
その親玉と岸には因縁があり…。
美術品をめぐり知能犯が絡む、もっと様々な事件が
読みたかったとは思うが、
軽めのエンタメとして、楽しかった。
レンブラントのエッチング、ロダンのレプリカ、
舐めるとしょっぱい仏像、などなど。
どちらかというと、謎より、美術バナシに興味がひかれたかな。