冴えわたる、推理も、スィングも…。田中啓文さんの「辛い飴 永見緋太郎の事件簿」を読む。
永見緋太郎シリーズの二作目になる。
読む順番としては間違っていて、
これで、三作、読んでしまった。あ~あ。
七編の連作には、
甘い、辛い、塩っぱい、酸っぱい、渋いといった
味覚を表す題名がついている。
表題作の「辛い飴」ももちろんいいが、
特別編としてプラスされた「さっちゃんのアルト」、
個人的には、一番好きだ。
伝説のブルースマンや、密室から消えたグランドピアノ、
ある島に伝わる民俗音楽など、
相変わらずの、音楽バカ、永見と、
彼を見守る唐島とのコンビを中心とした
音楽、ジャズ界、ミュージシャンをめぐる
謎と音楽バナシ、時々、ハートウォーミングで、
ユーモアたっぷりの物語が十分、堪能できた。
演奏シーンの描写のすばらしさは、
前にもさんざん、紹介した。
もう、付け加える言葉はない。
で、余計なことだが、
「甘い土」で、音楽バカの永見が、
音楽以外の「スリの才能」を垣間見せている場面が
へ~ってなもんで、面白かった…。