唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

「能力って、あってもそんなに役に立つものではない、犯罪以外は…」、河合莞爾さんの「カンブリア 邪眼の章 警視庁『背理犯罪』捜査係」を読む」

 

 

 

オカルト分野と刑事モノの融合といったところか。

 

近頃、霊や、異界の魔物といったものとコラボする警察小説を

よく見かける。

 

脳領域など、まだ科学では解明しきれていない、

いわゆる「人体の神秘」というものはたくさんあるわけで、

「人体の神秘」と言ってしまうところは、

結局、科学が追い付いていけていない領域だろう。

 

そう考えると、現在、超能力と言っている力は、

ひょっとしたら、人類が誕生した時、誰もが持っていたかもしれない力で、

それが進化と共に消え、あるいは、どこか奥深くに隠されたもの、

かもしれないわけだ。

 

などと、つらつら思いを巡らせてしまう作品だった。

 

この作品は、そういう力を利用した犯罪者を相手に、

刑事や検事が、現実社会の法の枠の中で、罪を償わせようとする戦いに

必死になるというところが面白い。

 

「力」を「理に背く」という意味で背理と名付け、

事件として処理されなかったが、どこか疑わしい死亡案件を、

背理犯罪と呼ばせる、という点も。

 

こうした利用が犯罪に利用された場合、

いわゆる法で裁けない悪事であり、

大体は、「必殺仕事人」かなんかが出張って、復讐してくれるという

ケリの付け方も面白いが。

 

三鷹の賃貸住宅で若い女性が不審死を遂げる。

急性心臓死として事件性はないとされたが、

現場に臨場した、警視庁捜査一課刑事、尾島と、

そしてコンビを組む、三鷹署の閑谷は、かすかな違和感を感じる。

 

その違和感は、過去にも同じ部屋で女性の突然死があったことが分かると、

急速に膨らんだ。

 

二人は大家の水田を怪しみ、捜査を始めるのだが…。

 

尾島と閑谷コンビ、検死を担当する大谷、超能力者を法廷に引っ張り出し、

尾島や閑谷と共に戦う検事、小幡燦子、尾島を後ろから支える巖田課長、

それぞれ、なかなかの個性で、魅力あるキャラたちだ。

 

そして、尾島が、超能力者の存在を信じるようになったきっかけ、

もう一人の超能力者、高杉宙(そら)との出会い。

これは、決着がついていないから、続編があることは間違いない。

 

次はどんな超能力者による「背理犯罪」が発生するのか、

楽しみではある。