唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

榎本憲男さんの「巡査長 真行寺弘道」を読む。

ロック好きな五十三歳のヒラ刑事。

本庁捜査一課に、また一人、変わり者が登場!

 

また一人、変わり者の刑事が登場した。


「巡査長」真行寺弘道。五十三歳。

本庁捜査一課の刑事だ。


警察の階級には「巡査長」はない。

だが、こう呼ばれるのは。


単独捜査を好み、休みたければ休む。

自宅では、オーディオでロック三昧。

上からの指令に従うより、自分のひらめきや思いつき、

疑問を徹底的に追いかける。


それは、一匹の猟犬だ。

といっても、ギラギラ感はない。


だからか、いつまでたってもヒラの刑事。


だが、必ずや事件の真相を掴んでくる。


といって、よくいる性格に難ありの天才というわけではない。


ただただ、自然体。


警察組織にあっては浮きそうな存在なのだが、

疎んじらられていることもなさそうだ。


上司も「一応本部の捜査一課にいる。刑事部長賞なんか

もらってやがる」。そんな男が何で、ヒラなんだと、

不思議がる。


喰いついてしまいそうな魅力やオーラを放っているとは

いえないが、じわじわと気になり、クセになる。

そんな人物だ。


そして、ニコイチをしない真行寺に相棒ができる。

この黒木という男も面白い。

ハッカーなのだが、謎を含んでいる。


物語は、真行寺が影の相棒、黒木と知り合う第一の事件。

衆議院議員が新宿のホテルで変死する第二の事件。

この議員は、なぜ、殺されなければならなかったのか。


捜査の中で、巨大な陰謀が浮かび上がってくる。


大胆で、面白く、かつ、恐ろしい。

もう、すでに、続編が待ち遠しい。

 

 

巡査長 真行寺弘道 (中公文庫)

巡査長 真行寺弘道 (中公文庫)