唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

高級旅館「銀の鰊亭」で火事があり、焼け跡から四人の遺体が見つかった…。小路幸也さんの「<銀の鰊亭>の御挨拶」を読む。

 

〈銀の鰊亭〉の御挨拶

〈銀の鰊亭〉の御挨拶

  • 作者:小路 幸也
  • 発売日: 2020/02/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

解き明かされない謎がいっぱい残り、

続編ありきのストーリー展開で、

どうも、釈然としなかった。

 

人の繋がりや、温かさは、この作家さんの作品全般の

テーマのようなもの。

ホンワカミステリーは世間にいっぱいあるから、

作品の雰囲気として別に間違っちゃいないんだが。

 

だが…。

 

記憶喪失や、過去の秘密や、放火殺人や、盗聴器が仕掛けられたり、

サラっと読むには、結構ディープな謎もあるのだが、

<闇>を感じさせられるような悪意らしい悪意も見つからず、

登場人物が善人のオンパレードで、

なんか、チグハグ。

 

主人公(らしき)光の、

裏表のない、まっすぐな性格も、

「正義の刑事」といっていいほど、まっとうな磯貝も、

言動がさわやかな宮島も、

誰もがあまりにも魅力的過ぎて、かえってうさんくさい。

 

それに、ツッコミを入れたくなるような場面もある。

 

光が「医療過誤」という言葉を出すと、

相手が「よく知ってますね。医療過誤なんて難しい言葉を」と返すのは、

どうだろう。

光って大学生なのに。

 

そして、タイトルに「御挨拶」とあるからには、

特別な意味がありそうだと考えてしまったが、

それらしき「御挨拶」は示されていなかったような。

 

やっぱり、ミステリーというより、青春小説だろうな。

 

なんて、いろいろつっこんでしまったが、

続編が出たとしたら、やっぱり買ってしまうんだろう。