小路幸也さんの「花咲小路一丁目の刑事」を読む。
新米刑事の赤坂淳は、昔住んでいた花咲小路商店街に戻り、祖父母と同居することに。非番のたびに、ばあちゃんを介して事件とは言えないご近所のもめごと解決を頼まれる。心優しき人々が住む町のご近所ミステリー。
家でご飯を食べなくなった飼い猫の話、
死んだおじいさんから手紙が届くラーメン店の話、
本の上に、レモン、ミカン、キウイとフルーツが次々に
置かれる本屋の話など、商店街の人の助けを借りて、淳が
謎を解き明かす物語、五編が収録された連作モノ。
淳ちゃん刑事はとても自然体だ。
この作品の主人公ではあるのだが、
どちらかというと、主役は商店街の人々で、淳は脇役の立ち位置に
おさまり、主張せず、邪魔にならない。
淳が動くことによって、もめごとの流れが
自然に解きほぐされていくかのようだ。
もめごとの解決には、時たま、不思議な人物、
セイさんとミケさん、二人の影がちらつく。
セイさんのことは、前作「花咲小路四丁目の聖人」で
描かれたが、ミケさんのことは。
詳しく描かれることがあるのだろうか。
もっと知りたいと思う。