内藤了さんの「鬼の蔵 よろず建物因縁帳」を読む。
その土蔵の土戸には、夥しい血で「鬼」という文字が大書されていた。怨霊の封印が解け、恐ろしくも切ない物語が明らかに…。広告代理店に勤める春菜と謎の曳き師、仙龍コンビが旧家蒼具家にまつわる因縁を断ち切る。
ワタシは怖がりである。
ホラー小説は、どちらかというと、苦手なほうだし、
まして、ホラー映画は殆ど見ない。
今回のように、たまたま読んだとしても、夜はいやだ。
明かりを避けた薄暗い部屋の隅には、
何かがうずくまっているような気がするし、
自分の背中側の気配が気になる。
広告代理店の営業担当である高沢春菜は、
奥深い山村の道の駅建設計画に名乗りをあげる。
だが、その村の旧家、蒼具家の土蔵から文化財が出たということで、
土蔵をまるごと移転するという話に。
下見に出かけた春菜は、因縁物件専門の曳き家師、仙龍という男と知り合う。
土蔵に入った春菜は、その土戸に大書された「鬼」という血文字を見せられる。
さらに、謎めいた印が入った札が床下に貼られている。
調べるうちに、蒼具家には、盆に「隠れ鬼」をしてはいけないという
禁忌があることもわかってくる。
「鬼」とは何なのか、そして、血で書かれた理由、
禁忌の意味するものは。
旧家、土蔵、血文字、封印の札と、ホラーの舞台装置満載。
やぁ~、ゾクゾクします。
春菜のキャラが負けん気の強い、結構強烈なもので、
なんだかなぁと思って読んでいったけど、
仙龍との息があってきたところから、
強烈キャラも気にならなくなった。
そして、春菜にも、何やら力があることも示唆されてはいるが、
どんな力なのか、発揮された様子はないのだが…。