唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

小路幸也さんの「ビタースイートワルツ」を読む。

舞台は2000年の北千住。前作から9年が過ぎ、ダイも39歳に。甘さばかりではなくほろ苦さもわかってくる年齢だ。若者は大人になり、大人は少々年を取ったが、「弓島珈琲」に流れる空気は変わらない。

 

「仲間」とか「友情」とか、この年になると、
なかなか恥ずかしい言葉を素直に口に出し、文字にできるのは
小路幸也さんの作品だからかもしれない。


親友と呼べる友人はいる。

若い時と違って、しょっちゅう会えるわけではない。
というか、一年のある期間にまとめて会い、
無事生きていることを確かめ合うという間柄だ。

それでも、大切な人には変わりない。

 

前作は1991年の「弓島珈琲」だった。
それから9年が過ぎても、そこに流れる空気は変わらない。
人のつながりも、そして心模様も。


ただ、愛犬のクロスケが死に、
代わりに猫がクロスケの名前を継いだ。

そして、刈田さんが胃がんの手術を受けたことが、
切ない。


前作は高校生だった純也も、今は、
ゲームクリエイターとして活躍中。香世は結婚した。


ダイが救ったあゆみも、もう、女子大生。
あゆみにとってのヒーロー、ダイに恋している。


「弓島珈琲」のおっかさん、丹下さんや
三栖さんが相変わらずなのは嬉しい。


だが、今回は、その三栖さんにトラブル発生だ。

 

三栖さんの部下、甲賀という女性がダイを訊ねてくる。


三栖さんが行方不明なのだという。
そういえば、ここのところ戻ってきていない。
刑事という職業柄、気にしていなかった。


甲賀の携帯に一通のメールが入る。
「ダイへ」としか記されていなかった。


このメールは一体、誰が送ったものか、
三栖さんの行方不明と関連があるのか。


時を同じくして、あゆみの友達とも連絡がとれなくなったという…。


バラバラに起こる出来事が、ダイたちが動くとともにまとまっていく。


三栖さんの行方不明には、彼の中学時代からの親友、
松木という男が関わっていることが判明。
彼の役割は何なのか。


作品の中では、BGMに使われる
アーティストの名前がずらずらと出てくる。

エルビス・プレスリー、クリス・レア、ロッド・スチュワート、
ディオンヌ・ワーウィック、トム・ウェイツ…。


知っているアーティストは懐かしく、知らないときは、
その曲を聞きたいと思う。

 

 

ビタースイートワルツ Bittersweet Waltz (実業之日本社文庫)

ビタースイートワルツ Bittersweet Waltz (実業之日本社文庫)