中山七里さんの「TAS 特別師弟捜査員」を読む。
学園モノというのは、若い子がワチャワチャ騒いで、
共感というものをし難い、という感じがして、
どちらかというと、敬遠している。
この作品は、結末まで読めた、という気がする。
主人公、男子高校生の慎二は、
学園のマドンナ的存在、楓から「放課後、ヒマ」と
声を掛けられる。
だが、その楓は、昼休みの終わりに、屋上から転落して
死亡した。
慎二は、従兄で刑事の葛城公彦から、
楓にまつわる情報を求められたことをきっかけに、
彼女が部長を務めていた演劇部に潜入することに…。
楓の死は、事故か、自殺なのか、それとも…。
周囲の話を聞くうち、楓の裏の生活が浮かび上がってくる。
慎二と公彦の掛け合いが、なかなか、面白く、
演劇というものに熱中していく慎二の心の動きも
興味深い。
さらには、脚本執筆の才能まで発掘されて…。
軽いだけではない、切なくやるせない部分もあり、
若者が持つ悪意もありで、
読み応えはあった。