唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

毎日でも通いたくなる、そんな店、「パ・マレ」。そのシェフ、三舟が客に披露するのは料理と、そして謎解きと。近藤史恵さんの「タルト・タタンの夢」を読む。

 

タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)

タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)

  • 作者:近藤 史恵
  • 発売日: 2014/04/27
  • メディア: 文庫
 

 

 

事件とも呼べない小さな出来事。

 

でも、そのもつれた糸をほぐすことによって、

人の人生が大きく変化する。

そのきっかけを作るのが、

ビストロ「パ・マル」の三舟シェフ。

 

下町の商店街の中にある、小さな店。

スタッフは、シェフの他、スーシェフの志村さん、

ソムリエの金子さん、そして語り手でもある

ギャルソンの高築の四人だけ。

 

七話の短編が収められ、

どの作品も、客が持ち込む何気ない違和感や、

ちょっとしたトラブル、歪みを、

三舟シェフの優れた洞察力や、推理力で、

あるべき方向に、そして形に整えていく。

 

きっと、三舟シェフが供する、

肩肘張らなくてもいいフランス料理と同じく、

難しい顔をせずに構えずに読める、

そんな、軽く、ゆるやかなミステリーだ。

 

七話もあるのに、気づけば、いつのまにか

読み終わっている。

 

軽すぎて、ちょっと物足りなくも感じるが、

腹八分、これが、おいしいものを味わうときの

ルールだろう。

 

このシリーズ、三作も出ているそうだから、

まだまだ、楽しめそうだ。