唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

昆虫オタク? それとも…? おとぼけ青年、魞沢の謎解きは遠慮がち。櫻田智也さんの「サーチライトと誘蛾灯」を読む。

 

サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫)

サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫)

  • 作者:櫻田 智也
  • 発売日: 2020/04/20
  • メディア: Kindle版
 

 

 

一話目を読み、青年、魞沢のおとぼけぶりが、

何だか、メンドーくさそうで、離脱を考えたのだが、

二話、三話と読み進めるうち、

作品全体に引き込まれていった。

 

昆虫好き?、あるいは専門家なのか?

いずれにしても、最後まで正体不明なのだ、

魞沢という青年は。

 

名探偵とは言えども、変人ぶりやおとぼけぶりは、

かなり、苛つかされる場合が多い。

 

変人名探偵は定番だとは思うが、

それだけで、読者を離脱させてしまうのは、もったいない気もする。

 

読み進めるうち、苛つきが消えてしまったのは

なぜなんだろう、と不思議に思う。

 

おとぼけが変わるわけでもないのに…。

 

魞沢に関わる人々も、彼を「変わり者」と思うだけで、

受け入れてしまっている。

 

おかしみと温かさを、そして、

ふわりと緩い感じを、彼から受け取るせいか。

 

それが、作品全体の印象になっている。

 

続編もまた読みたい、そんな気にさせる作品だ。

いつか、彼の正体が明かされるのだろうか。