昆虫オタク? それとも…? おとぼけ青年、魞沢の謎解きは遠慮がち。櫻田智也さんの「サーチライトと誘蛾灯」を読む。
一話目を読み、青年、魞沢のおとぼけぶりが、
何だか、メンドーくさそうで、離脱を考えたのだが、
二話、三話と読み進めるうち、
作品全体に引き込まれていった。
昆虫好き?、あるいは専門家なのか?
いずれにしても、最後まで正体不明なのだ、
魞沢という青年は。
名探偵とは言えども、変人ぶりやおとぼけぶりは、
かなり、苛つかされる場合が多い。
変人名探偵は定番だとは思うが、
それだけで、読者を離脱させてしまうのは、もったいない気もする。
読み進めるうち、苛つきが消えてしまったのは
なぜなんだろう、と不思議に思う。
おとぼけが変わるわけでもないのに…。
魞沢に関わる人々も、彼を「変わり者」と思うだけで、
受け入れてしまっている。
おかしみと温かさを、そして、
ふわりと緩い感じを、彼から受け取るせいか。
それが、作品全体の印象になっている。
続編もまた読みたい、そんな気にさせる作品だ。
いつか、彼の正体が明かされるのだろうか。