唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

原寮さんの「それまでの明日」を読む。

 

それまでの明日

それまでの明日

 

 

 

1988年、沢崎が初めて登場した「そして夜は甦る」からはや三十年。

 

その間、沢崎シリーズは、今作を含め六作。

なんと、前作から十四年たっているのだという。

読み始めたころは若かったワタシも…。

次を待つ間に、忘れてしまうんだヮ。

 

でも、ホント、作品の色は変わらない。

言うなれば、モノトーン。

モノクロ映画を見ているような雰囲気。

 

古き(決して、悪い意味ではなく)時代のハードボイルドの香りが

いい具合に漂う。

 

少々クサめの、探偵の言い回しも、懐かしいトーンだ。

 

喫煙できるところが少なくなった今に逆行するよう、

タバコの煙が充満する。

 

探偵の沢崎と、刑事である錦織、田島の関係も相変わらずで

おもしろい。

お互い、毛嫌いしているようで、妙に呼吸があう。

 

その様は、メンドーくさいオッサン三人が、

乳繰り合っているように見えなくもない。

 

でも、新宿って街、実にハードボイルドが似合う。

格好の舞台だ。

人の涙や汗や、血の匂いがプンプンしてきそうで。

人間臭いなぁ。

 

f:id:ohoba3:20190626141503j:plain

 

沢崎のもとを訪れたのは、今の時代、お目に掛かれないような

紳士然とした男性。金融会社の支店長だという。

 

彼からの依頼、「料亭<業平>の女将の身辺調査」を進めると、

当の女将はすでに亡くなっていることが判明する。

 

依頼人に報告するため金融会社を訪れた沢崎は、

強盗事件に巻き込まれる。

 

そして、依頼人は姿を消してしまうのだ。