大山誠一郎さんの「アリバイ崩し承ります」を読む。
女主人が営むその時計屋には、「修理承ります」のほか、
「アリバイ崩し承ります」という張り紙があった。
県警捜査一課の新米刑事の「僕」は、非番の日、
ある商店街で、時計の修理を頼むため一軒の時計屋に足を踏み入れる。
二十代半ば、小柄で色白、ボブスタイルの髪に
つぶらな瞳をしたウサギのような女主人と、
見たこともない張り紙が彼を出迎えた。
いわゆる、安楽探偵モノ。
女主人である、美谷時乃が新米刑事の依頼のもと、
彼が届ける情報だけを頼りに推理を繰り広げ、真相にたどり着く連作、七編。
たどり着くというより、新米刑事の話を聞いたその瞬間に、
「時を戻すことができました。〇〇さんのアリバイは崩れました」と告げるのだ。
ツッコミどころはいくつかあるが、アリバイ崩しを単純に楽しみたい方には
うってつけ。
それでも、アリバイ崩しを祖父から受け継いだ女主人と祖父との想いでが
描かれた編は好きだな。