唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

大倉崇裕さんの「アロワナを愛した容疑者」を読む。

 

アロワナを愛した容疑者 警視庁いきもの係

アロワナを愛した容疑者 警視庁いきもの係

 

 

 

読み始めてそうそう、ビックリした。

 

この作家さんの人気シリーズの主人公、

福家警部補が登場したのだ(電話でだけど)が、

なんと、京都に赴任しているではないか。

いつの間に?

 

よく読んでみたら、東京の捜査一課との

人事交流だとか。

 

そういえば、この「警視庁いきもの係」シリーズと、

「福家警部補」シリーズとも、

「人事交流」がしばしばみられる。

須藤や石松も、たまに「福家」シリーズに顔を出してたなぁ。

 

そして、薄と須藤の、漫才のような掛け合いは健在である。

薄の怪しげな日本語に振り回される須藤、

おなじみのパターンなのだが、

ますます、磨きがかかってきたようだ。

 

f:id:ohoba3:20190628141613j:plain

 

これまでの作品では、

薄の知力が十分に発揮されていたが、

今作ではそれに加えて、逮捕術にも優れているのにも

驚かされた。

 

現場を恋しがり、一課復帰を心のどこかで望んでいた須藤も、

もう、「一課をなつかしく思うことはなくなった」らしい。

「ここに骨を埋めるのも悪くはない」と思い始めている。

それほどに、薄や弘子との絆が強くなってきたということだろう。

 

それに、薄を「お嬢ちゃん」とからかって呼ぶ石松も、

薄が「これは、殺人です」と断言すると、

何も言わずに捜査を開始する。

 

この打てば響くような連携は、ここまで信頼関係を築いたのだと、

うれしくなってしまう。

 

とにかく、犯人を追っかけるのはもちろん、

動物や植物の蘊蓄も合わせて、楽しめる作品だ。