大倉崇裕さんの「アロワナを愛した容疑者」を読む。
読み始めてそうそう、ビックリした。
この作家さんの人気シリーズの主人公、
福家警部補が登場したのだ(電話でだけど)が、
なんと、京都に赴任しているではないか。
いつの間に?
よく読んでみたら、東京の捜査一課との
人事交流だとか。
そういえば、この「警視庁いきもの係」シリーズと、
「福家警部補」シリーズとも、
「人事交流」がしばしばみられる。
須藤や石松も、たまに「福家」シリーズに顔を出してたなぁ。
そして、薄と須藤の、漫才のような掛け合いは健在である。
薄の怪しげな日本語に振り回される須藤、
おなじみのパターンなのだが、
ますます、磨きがかかってきたようだ。
これまでの作品では、
薄の知力が十分に発揮されていたが、
今作ではそれに加えて、逮捕術にも優れているのにも
驚かされた。
現場を恋しがり、一課復帰を心のどこかで望んでいた須藤も、
もう、「一課をなつかしく思うことはなくなった」らしい。
「ここに骨を埋めるのも悪くはない」と思い始めている。
それほどに、薄や弘子との絆が強くなってきたということだろう。
それに、薄を「お嬢ちゃん」とからかって呼ぶ石松も、
薄が「これは、殺人です」と断言すると、
何も言わずに捜査を開始する。
この打てば響くような連携は、ここまで信頼関係を築いたのだと、
うれしくなってしまう。
とにかく、犯人を追っかけるのはもちろん、
動物や植物の蘊蓄も合わせて、楽しめる作品だ。