唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

大沢在昌さんの「極悪専用」を読む。

 

極悪専用 (文春文庫)

極悪専用 (文春文庫)

 

 

 

賃料の月額が百万、部屋によっては数千万という途方もない高級マンション、

なのだが、住民はすべて、闇社会の悪党ばかり。

 

住民同士の殺し合いも日常茶飯事で、死体はすべて、

特別回収業者が処分してくれる。

 

そこでは、管理人がただ一人、住民のプライバシーを守っている。

 

そんなマンションに放り込まれたのは、「俺」である望月拓馬。

大物の祖父のおかげで、オンナ、麻薬、酒、車、

何の不自由もなく、好き勝手な生活を送っていた。

 

だが、その度を越したヤンチャぶりに腹を立てた祖父の命により、

彼は拉致られ、管理人の助手としてそのマンションに放り込まれた。

 

逃亡したり、上司にたてついたら、そく処理されるという状況で、

「とりあえず、一年頑張れ」と祖父から突き放されるのだが…。

 

f:id:ohoba3:20190630145802j:plain


ハチャメチャ感は十分、伝わってくるのだが、

悪党たちの顔が今一つ、はっきりしない。

その存在感は希薄で、軽めのハードボイルドを読んでいるような

感覚だ。

 

だが、この物語は、ノワールというより、

オッサン管理人、白旗と拓馬との心の交流(あれば、の話だが)

を描いた物語なのかもしれない。

 

初めからコメディとうたっているから、

この作家さん特有のヒリヒリ感は、またの機会ということで…。