連続バラバラ殺人に見立て、謎だらけなのに、ギャグやおふざけ満載、こんな探偵モノって、アリ?霞流一さんの「フォックスの死劇」を読む。
この手のジャンルを、バカミスと呼ぶのだそうな。
バカバカしさは、ギャグや、主人公の口から次々に飛び出す戯言に、
集約されている。
登場人物の名から店の名、地名、そして、
女と別れた理由が「パンツをレンチンしたから」…、
もろもろ、シャレてるのか、
ギャグなのか、冗談というか、おふざけのオンパレードだ。
だが、酒好き、女好き…、昭和以前の探偵の香りがプンプンして、
文章自体からもハードボイルドっぽさが感じられ、決して嫌いではない。
首や手足が切断された死体、現場には狐の面を始めとする小道具が散らばり、
見立て殺人の様相も…、そして、「ハモノハラ」という謎の言葉を
残して死んだ映画監督の墓の塔婆が空を飛び、近所の建物の屋上に
突き刺さっていたり、ともかく、これでもかと、謎や事件が起こり続け、
途中でお腹いっぱいになりそうだ。
登場人物も多く、結構、事件の様相が複雑で、めいっぱい詰め込まれ、
バカミスと鼻で笑えない。
作品中の、映画関係の蘊蓄も面白い。
好き嫌いがはっきりしそうだ。