唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

闇の医療、臓器売買。厳しい現実の前に、正義はもろく砕け散るのか。犬養シリーズ第五弾。中山七里さんの「カインの傲慢」を読む。

 

カインの傲慢 (角川書店単行本)

カインの傲慢 (角川書店単行本)

  • 作者:中山 七里
  • 発売日: 2020/05/29
  • メディア: Kindle版
 

 

 

犬養刑事シリーズの五作目。

 

このシリーズでは、正解の出ないテーマが目立つように

なってきた。

 

今回は、臓器移植と貧困。

 

事実だけを一つひとつ積み上げ、

謎を解明し、犯人を追い詰め、逮捕する。

そういう正統な刑事モノであれば、

全てのピースが収まるべきところに収まり、

一枚の絵として完成するジグソーパズルのように、

最後のピースをはめこんで、

スッキリした達成感を感じる。

 

だが、今回は…。

 

貧困のあまり、自分の臓器を売る。

それを買い取り、富裕層に売りつける。

そのビジネスが特に、子どもを相手にしたとき…。

 

テーマがテーマだからかもしれないが、

そして、事件の解明は、決して勝ち負けでないにしても、

犬養の敗北を示唆するような結末。

 

エンタメ作品であるのだから、

正義も救いも、あって欲しかったなぁ。

 

臓器を奪われた少年の遺体が発見された。

そして、また一人、二人と…、いずれも肝臓を奪われていた。

犬養たちの捜査により、最初の少年は中国人と判明する。

高千穂は、中国へ。

 

暗躍する臓器密売組織を追って、

犬養らは、捜査を続ける。