安東能明さんの「聖域捜査」を読む。
ゴミ屋敷、下着泥棒、散骨、年賀状の未配達などなど、はじめは
些細と思われた事件が大きなものへとつながっていく。
この作品からは、事なかれ主義の上司のもと、
「生活安全特捜隊」の班長となった結城を中心とする班の
捜査への執念が匂いたってきて、連作モノだがなかなか読みごたえはある。
ただ、結末がすっきり終結せず、何か置いてきぼりにされたような
想いを残す作品もあったが。
それと、結城だが、部下がヘマすると、自分に責任が降りかかるのではと、
オロオロしたり、他の部署に嫌味を言われ、頭に血を上らせたりと、
成長過程にある、なかなか人間臭いところを見せてくれている。