唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

2020-01-01から1年間の記事一覧

楽しくて、あたたかな花咲小路商店街。今回の物語の主人公は、弱冠十九歳で駐車場の経営主のすばるちゃん。小路幸也さんの「花咲小路三丁目北角のすばるちゃん」を読む。

花咲小路三丁目北角のすばるちゃん (ポプラ文庫) 作者:幸也, 小路 発売日: 2020/09/04 メディア: 文庫 「花咲小路商店街」シリーズの五作目。 この作家さんの人気シリーズ、「東京バンドワゴン」と同様、 登場人物が全員、良い人。 一っかけらの悪意もなく、…

「向かない」と言いながら、今や、刑事そのもの。椎名真帆シリーズの三作目。山邑圭さんの「刑事に向かない女 黙認捜査」を読む。

刑事に向かない女 黙認捜査 (角川文庫) 作者:山邑 圭 発売日: 2020/08/25 メディア: Kindle版 本当は、事務職に就きたかったのだが、 間違って刑事になってしまったオンナ、 椎名真帆巡査シリーズの三作目。 始めは、「いつだって辞めてやる」とグチっていた…

立ち止まっていた心が動き出す…、きっかけは、祖母から頼まれた、歌舞伎を観劇するというバイトだった。近藤史恵さんの「歌舞伎座の怪紳士」を読む。

歌舞伎座の怪紳士 (文芸書) 作者:近藤史恵 発売日: 2020/01/29 メディア: 単行本 心に傷を負い、立ち直ることもままならない主人公が、 あることをきっかけに、顔を上げ、前へ向いて歩くことができるようになる。 いわゆる、再生の物語。 再生の物語は心地よ…

ひよっこ警察官、ケッペーの次の研修先は生活安全課。早速、闇を予感させる事件に遭遇して…。内藤了さんの「TURN 東京駅おもてうら交番」を読む。

TURN 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 (角川ホラー文庫) 作者:内藤 了 発売日: 2020/08/25 メディア: Kindle版 「ケッペー」シリーズの第四作目。 警察学校を卒業した恵平は研修段階に入り、 地域課研修で東京駅おもて駅交番のおまわりさんを勤め、 刑事課で…

「なんちゃって司書」という設定、次々に登場する本たち。本好きにはたまらないストーリー。竹内真さんの「図書室のキリギリス」を読む。

図書室のキリギリス (双葉文庫) 作者:竹内 真 発売日: 2015/09/10 メディア: 文庫 本屋さん、図書館、古書店…、 つまり、本が存在する場所が舞台になった物語は、 それだけで、興味をかきたてられる。 古書店なら「ビブリア古書堂の事件手帖」(三上延さん)…

心のこもったおいしい料理と、心をほっこりさせてくれる謎解きを…。近藤史恵さんの「ヴァン・ショーをあなたに」と「マカロンはマカロン」を読む。

ヴァン・ショーをあなたに 〈ビストロ・パ・マル〉 (創元推理文庫) 作者:近藤 史恵 発売日: 2015/02/27 メディア: Kindle版 マカロンはマカロン (創元推理文庫) 作者:近藤 史恵 発売日: 2020/07/30 メディア: 文庫 この作品は、「タルト・タタンの夢」に続く…

魚に絡めた四話の連作モノ。相変わらず、おふざけがキツイです。霞流一さんの「おさかな棺」を読む。

おさかな棺 (角川文庫) 作者:霞 流一 発売日: 2016/03/18 メディア: Kindle版 ありえない展開でも楽しんでしまおうというミステリー、バカミス。 相変わらずの奇天烈な展開で、「そんなバカな」と叫びながらも、 楽しんでいる。 私立探偵、紅門(くれないも…

取り戻すことのできない時間、だが、確かにあのとき、三人は輝いていた…。津原泰三さんの「ルピナス探偵団の当惑」「ルピナス探偵団の憂愁」を読む。

ルピナス探偵団の当惑 作者:津原 泰水 発売日: 2014/05/23 メディア: Kindle版 ルピナス探偵団の憂愁 (創元推理文庫) 作者:津原 泰水 発売日: 2012/12/12 メディア: 文庫 ぶっ飛んだ、刑事の姉を持つ主人公、吾魚彩子と、 男言葉を操る、親友の桐江泉、同じ…

敬次郎の呪いに決着を、一挙にII、IIIを読んでみた。川崎草志さんの「呪い唄 長い腕II」と「弔い花 長い腕III」を読む。

呪い唄 長い腕II (角川文庫) 作者:川崎 草志 発売日: 2012/10/19 メディア: Kindle版 弔い花 長い腕III (角川文庫) 作者:川崎 草志 発売日: 2014/04/08 メディア: Kindle版 「長い腕」シリーズのII、IIIと揃っているなら 一挙読みでしょ、というわけで、I…

「歪み」がキーワード。はるか昔の怨念が、現代社会を歪ませる…。川崎草志さんの「長い腕」を読む。

長い腕 (角川文庫) 作者:川崎 草志 発売日: 2012/10/19 メディア: Kindle版 作品を読み続けられるか否かは、文体の好み、 ストーリー展開のスピード感など、いろいろあるが、 何といっても、登場人物にどこまで共感できるか、 その世界に入り込んでいけるか…

毎日でも通いたくなる、そんな店、「パ・マレ」。そのシェフ、三舟が客に披露するのは料理と、そして謎解きと。近藤史恵さんの「タルト・タタンの夢」を読む。

タルト・タタンの夢 (創元推理文庫) 作者:近藤 史恵 発売日: 2014/04/27 メディア: 文庫 事件とも呼べない小さな出来事。 でも、そのもつれた糸をほぐすことによって、 人の人生が大きく変化する。 そのきっかけを作るのが、 ビストロ「パ・マル」の三舟シェ…

元刑事、凄腕ハンター、警察マニアという風変わりなトリオが、異常な謎に挑む。川瀬七緒さんの「二重拘束のアリア 賞金稼ぎスリーサム!」を読む。

二重拘束のアリア~賞金稼ぎスリーサム!~ 作者:川瀬七緒 発売日: 2020/07/30 メディア: Kindle版 期待を裏切らない作家さんだと、つくづく思う。 元刑事の薮下、大企業の御曹司のクセに警察マニアの淳太郎、 そして、凄腕のハンター、一花。 ちょっと、い…

昆虫オタク? それとも…? おとぼけ青年、魞沢の謎解きは遠慮がち。櫻田智也さんの「サーチライトと誘蛾灯」を読む。

サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫) 作者:櫻田 智也 発売日: 2020/04/20 メディア: Kindle版 一話目を読み、青年、魞沢のおとぼけぶりが、 何だか、メンドーくさそうで、離脱を考えたのだが、 二話、三話と読み進めるうち、 作品全体に引き込まれていった…

丸の内の片隅で営業する「ばんざい屋」、女将のおいしい総菜とミステリーを今夜も…。柴田よしきさんの「ふたたびの虹」を読む。

ふたたびの虹 (祥伝社文庫) 作者:柴田よしき 発売日: 2014/10/09 メディア: Kindle版 恋愛ミステリーがうまい。 しっとりと、心に染み入ってくる言葉が秀逸。 二十年近く前の作品だが、色あせない。 再読なのだが、新鮮な気持ちで読める。 一文字一文字、大…

栞子さんと、大輔と、そして扉子の、本をめぐる新たな物語。二作目、今回は横溝正史作品。三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帖II~扉子と空白の時~」を読む。

ビブリア古書堂の事件手帖II ~扉子と空白の時~ ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ (メディアワークス文庫) 作者:三上 延 発売日: 2020/07/18 メディア: Kindle版 前シリーズ、「ビブリア古書堂の事件手帖」が完結して、 あ~あ、と思っ…

「潔癖」刑事、田島と、相変わらず空気を読まない女刑事、毛利との、最も噛み合わないコンビ、再び。梶永正史さんの「潔癖刑事 仮面の哄笑」を読む。

潔癖刑事 仮面の哄笑 (講談社文庫) 作者:梶永 正史 発売日: 2020/07/15 メディア: 文庫 「潔癖刑事」シリーズの三作目。 モノはあるべきところにあるべき形で。 バランスを過剰に重要視する、警視庁捜査一課の田島。 そして、帰国子女で、傍若無人の女刑事、…

「日本をバージョンアップする」が口癖、本気で国を守ろうとする男の物語、新シリーズ始動。榎本憲男さんの「DASPA 吉良大介」を読む。

DASPA 吉良大介 (小学館文庫) 作者:憲男, 榎本 発売日: 2020/07/07 メディア: 文庫 この作家さんの別のシリーズ、「巡査長」シリーズと リンクしていると知り、手に取った。 主人公は、警察庁警備局出身の、エリート官僚、 吉良大介。 テロなど、国家の緊急…

ミステリーか、ホラーか、それともファンタジー?若竹さん流、不条理な世界への招待状。若竹七海さんの「八月の降霊会」を読む。

八月の降霊会 (角川文庫) 作者:若竹 七海 発売日: 2016/02/25 メディア: Kindle版 結末に到達して、どう、捉えたらいいんだろうと、うなってしまった。 二十年以上前の作品。 昔、読んだ気はするのだが…。 降霊、甦る死者…、ミステリーとして落としどころを…

相変わらず、生真面目で、天然(?)ポイ薬剤師ミステリー、第2弾。塔山郁さんの「甲の薬は乙の毒 薬剤師・毒島花織の名推理」を読む。

甲の薬は乙の毒 薬剤師・毒島花織の名推理 (宝島社文庫) 作者:塔山郁 発売日: 2020/05/09 メディア: Kindle版 お仕事ミステリー、薬剤師シリーズの二作目。 薬剤師が主人公となるミステリーは、これまで、 あったのか、なかったのか。 身近なようでそうでも…

死者が蘇る病院…、天才科学者、最上友紀子、再び。中村啓さんの「SCIS 科学犯罪捜査斑 II~天才科学者・最上友紀子の挑戦~」を読む。

SCIS 科学犯罪捜査班II~天才科学者・最上友紀子の挑戦~ (光文社文庫) 作者:中村 啓 発売日: 2020/06/26 メディア: Kindle版 科学の絡む事件を扱う、科学犯罪捜査斑(SCIS)シリーズの二作目。 同じ病院で、死亡した人間が四人も生き返る、 「自分は死んで…

サニワとして、仙龍の悪しき因縁を断ち切ろうと覚悟を決める春菜、感動モノです。内藤了さんの「怨毒草紙 よろず建物因縁帳」を読む。

怨毒草紙 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ) 作者:内藤了 発売日: 2020/06/18 メディア: Kindle版 「よろず建物因縁帳」シリーズも、もう七作目。 今作は、仙龍を始めとする鐘鋳建設の男たちの活躍が、 少々、地味だったこと、 春菜の天敵、「パグ」こと、長…

犯人が仕掛けるネットの罠、逃れることはできるのか…。伊兼源太郎さんの「見えざる網」を読む。

見えざる網 (角川文庫) 作者:伊兼 源太郎 発売日: 2015/09/25 メディア: Kindle版 サスペンス、ハードボイルド、そして、 幼い時を共有した若者の青春小説(?) と、多くの要素が盛り込まれている。 中盤で、黒幕の見当はつき、 黒幕登場のあたりから、少々…

鬼と陰陽師のコンビ、ひとまず完結、次回は、いよいよ新シリーズへ。田中啓文さんの「オニマル 異界犯罪捜査斑 鬼刑事VS殺人鬼」を読む。

オニマル 異界犯罪捜査班 鬼刑事VS殺人鬼 (角川ホラー文庫) 作者:田中 啓文 発売日: 2014/06/20 メディア: Kindle版 オニマルシリーズの三作目、そして、とりあえずの完結だそうだが、 新シリーズへの導入でもある。 陰陽師と鬼のコンビという、ぶっとび設…

次郎が抱える問題も、一応、ケリが…。竹村優希さんの「丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。5」を読む。

丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。5 (角川文庫) 作者:竹村優希 発売日: 2019/08/23 メディア: 文庫 時々、せつなく、時々、怖く、時々、ハラハラする このシリーズも、もう五作目。 今回は、いよいよ、次郎の兄、一哉の一件が決着する。 主人公のキ…

主夫業に専念する父親と、十代の娘のほんわか、(ためになる)、おうちミステリー…。門井慶喜さんの「人形の部屋」を読む。

人形の部屋 (創元推理文庫) 作者:門井 慶喜 発売日: 2014/05/11 メディア: 文庫 かつては、旅行会社で優秀な企画担当社員だったが、 今は主夫業に専念する父親、八駒敬典と、その娘、つばさの 二人が中心となって展開していくおウチミステリー。 (敬典は、”…

闇の医療、臓器売買。厳しい現実の前に、正義はもろく砕け散るのか。犬養シリーズ第五弾。中山七里さんの「カインの傲慢」を読む。

カインの傲慢 (角川書店単行本) 作者:中山 七里 発売日: 2020/05/29 メディア: Kindle版 犬養刑事シリーズの五作目。 このシリーズでは、正解の出ないテーマが目立つように なってきた。 今回は、臓器移植と貧困。 事実だけを一つひとつ積み上げ、 謎を解明…

連続バラバラ殺人に見立て、謎だらけなのに、ギャグやおふざけ満載、こんな探偵モノって、アリ?霞流一さんの「フォックスの死劇」を読む。

フォックスの死劇 (角川文庫) 作者:霞 流一 発売日: 2013/07/17 メディア: Kindle版 この手のジャンルを、バカミスと呼ぶのだそうな。 バカバカしさは、ギャグや、主人公の口から次々に飛び出す戯言に、 集約されている。 登場人物の名から店の名、地名、そ…

探偵役のおあばあちゃん、ひとクセもふたクセもありそうな…。蒼井上鷹さんの「お隣さんは、名探偵 アーバン歌川の奇妙な日常」を読む。

お隣さんは、名探偵 アーバン歌川の奇妙な日常 (角川文庫) 作者:蒼井 上鷹 発売日: 2016/04/23 メディア: Kindle版 郊外に建つマンション、「アーバン歌川」が舞台。 住民のおばあちゃんが探偵役となって、 各家庭の秘密に迫ったり、謎を解き明かしていく連…

超イケメンだが、「怪異」に関しては、超残念になる変人、高槻准教授と大学生・尚哉のコンビが心温まる。澤村御影さんの「准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき」を読む。

准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき (角川文庫) 作者:澤村 御影 発売日: 2018/11/22 メディア: Kindle版 テンポの良い、軽快なミステリー。 構えずに読めるところがいい。 怪異現象は、人の手によるものなのか、 それとも、人であらざるものによるもの…

相も変わらず、温かで、明るい堀田家でした…。小路幸也さんの「イエロー・サブマリン 東京バンドワゴン」を読む。

イエロー・サブマリン 東京バンドワゴン 作者:小路 幸也 発売日: 2020/04/24 メディア: 単行本 お馴染みの堀田家の物語も、もう十五作目。 いつもながらの、堀田家の春夏秋冬が描かれる。 ちょっとした、事件とも呼べないことが起こり、 堀田家の面々の、思…