超イケメンだが、「怪異」に関しては、超残念になる変人、高槻准教授と大学生・尚哉のコンビが心温まる。澤村御影さんの「准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき」を読む。
テンポの良い、軽快なミステリー。
構えずに読めるところがいい。
怪異現象は、人の手によるものなのか、
それとも、人であらざるものによるものか。
本当に怖いのは、どちらなのだろうか。
幼い時に出くわした怪異がきっかけで、人の嘘を聞き分けられる力を
持ってしまった深町尚哉。
そのため、自分と外の世界の間に線を引いている。
人に近づかないよう、近づかれないよう。
「孤独」を押し付けられてしまったのだ。
そんな尚哉は、入学した大学で、たまたま受講した
民俗学の准教授、高槻彰良と妙な因縁を持つことになる。
高槻は超イケメンだけど、
大好物の「怪異」話に出会うと、テンションが上がりすぎ、
つい、常識を逸脱してしまうという変人。
だが、彼の声は、どこまでも、温かく、歪みない。
彼は、尚哉には決して嘘をつかない。
この二人が、怪異と思われるさまざまな謎を解き明かしていく。
物語の進行とともに、高槻にも、過去に謎があることが
わかってくる…。
高槻の人懐っこくて、性格の良さが、物語の暗い部分を救い、
そして、尚哉の「孤独」をも溶かしていく、そんな感じなのだが、
それが、最後まで、裏切られないことを願う。