中山七里さんの「ヒポクラテスの誓い」を読む。
一人の作家さんを好きになると、その作家さんのあらゆるシリーズを
読みたくなるのは普通のことだろう。
複数のシリーズをまたいで、一つのキャラがあちこちに
顔を出すと、それだけで興奮してしまう。
この作品でも、「連続殺人鬼 カエル男」や犬養刑事シリーズに登場する
古手川刑事が活躍するし、登場はしないが渡瀬班長の名前が出てくる。
そうなると、「お、渡瀬さん、相変わらずの調子だな」と、
隣のオジサンに声をかけているかのうような気になる。
さて、今回の作品では、浦和医大研修医の栂野真琴が「試用期間」として、
法医学教室に送られたところから始まる。
死者の声なき声を聞く、法医学者のお話であります。
医師として、生きている患者を救うことを目指す真琴が、
法医学教室の主、大変人の光崎教授のもとでもまれるうち、
法医学も人を救う学問であることを知っていく。
物語は真琴目線ですすんでいくが、
偏屈だがその腕は超一流の光崎、死体好きの外国人准教授、キャシー、そして
古手川刑事との、まだ、仲間とは言えない繋がりが、徐々に太く強くなっていくさまが
面白い。