内藤了さんの「LEAK 猟奇犯罪捜査斑・藤堂比奈子」を読む。
面白い作品に出会うと、
早く結末にたどり着きたい思いと、
待って、この時間をもっと大事に、終わってしまうのが
もったいないという思いの間でがんじがらめになる。
この猟奇犯罪班シリーズも、ワタシのツボに完全に
はまった作品であります。
比奈子が、猟奇犯罪に対峙する刑事でありながら、
等身大の女性として実に生き生きと描かれている。
彼女は、事件の中で、怒り、泣き、笑い、そして恋をする。
さらに、刑事として人間としても深みのある厚田警部補、
軽くてお気楽だけどまっすぐな東海林、
愛車のバイクに忍という名前を付け、自分の恋人と言い切る倉島、
まだ情報が少なく、そのキャラがあいまいな清水、
雰囲気はまる暴の片岡、「死神女史」と異名をとる
石上検視官、鑑識捜査官の三木と、
比奈子のまわりは、実に個性派ぞろい。
シリーズを読み進めるうち、そんな厚田班の一員になりたくなってくる。
今回の事件は。
口から体内に多量の硬貨を挿入された殺害死体が
立て続けに3体発見される。
そして、捜査本部に加わった比奈子を名指しで、犯人からの電話が
入る。犯人の真意は…。
エピローグは実にせつない。
そしてまた、過去をひきずって、新しい事件が始まろうとしている。
このシリーズは、「ON」から始まり、新作の「COPY」まで、すでに9作出ている。
もちろん、どこから読んでもそれなりに楽しめるが、登場人物の背景や
物語の展開を理解するため、やはり順番に読んだほうがより楽しめるだろう。