宮部みゆきさんの「希望荘」を読む。
クズとまではいかない、悪意とまでも呼べない、どこか歪んだ心を持つ人々。 そうした人々には、思いやりや善意は届かない。ごく普通の人々の暮らしにそうした歪みが入り込んでくると、「普通」は「普通」でなくなる。
宮部みゆきさんの作品の中でも、5本の指に入る大好物シリーズ。
「誰か」、「名前も知らない」、「ペテロの葬列」に続く、
杉村三郎シリーズの4作目。短編4作品を掲載。
それでも、読みごたえは十分だ。
様々な出来事や事件を経て離婚をし、故郷へ戻った三郎は
「事件を呼び寄せる体質」と、かつての上司に言われた通り、
故郷でも重たい事件に遭遇する。
その事件をきっかけに出会った調査会社の若き経営者の勧めで
東京に戻り、探偵事務所を開く。
「ペテロの葬列」の結末で、妻と別れ、会社も辞め、
「どうなっちゃうの」と思ったけど、
探偵となって戻ってきてくれて、とても嬉しい。
さらに、これまでの作品に登場していた
喫茶店「睡蓮」のマスターが、三郎を追って、
またレギュラー的立ち位置を確保していることに、
心の中でガッツポーズしてしまった。
[asin:4093864438:image:large]