若竹七海さんの「静かな炎天」を読む。
人の悪意をモロかぶりし、悪態をつきながらも奮闘する葉村。アンタはエライよ。
大好物の葉村晶シリーズの5作目。
今回は登場人物のあまりの理不尽さに憤死寸前になった。
特に、最後の「聖夜プラス1十二月」の店主、富山をはじめとする面々の
葉村に対するやり口には殺意さえ覚えた。
それでも、よせばいいのに事件に巻き込まれていくのは、
その好奇心のなせるわざか。
前の前だったか過去の作品で、実の姉に殺されかけるという、
ハード極まりない事件に遭遇するのだが、
それも、彼女の好奇心。
「好奇心は猫をも殺す」と言われているんだし、
それに葉村、アンタももう若くはないんだから、
そろそろいい加減にしておかないと。
葉村晶シリーズのシニカルな語り口は、
相変わらずパワーが落ちていない。
その物言いには苦笑させられるが、それでも気持ちいいのは、
ファンの心の声の代弁者だからだろうか。
誰にもおもねることをしない潔さからだろうか。
人の悪意をもろ被りしても、不運が次から次へとやってきても
音をあげない、実にタフな女探偵。とにかく、大好きな女探偵だ。
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