彼女に幸運が舞い込むことは、あるのだろうか…。若竹七海さんの「不穏な眠り」を読む。
不運な探偵、葉村晶は健在だ。
四つの短編が収められた連作もの。
相も変わらず、自分勝手な依頼人に振り回され、
災いに巻き込まれ、首を絞められそうになったり、
池に落とされたりと、不運をもろ、かぶっている。
お馴染み過ぎて、ああ、葉村は元気だと、ホッとするのだ。
だが、悪態をつきながらも、依頼人の願いにこたえようと
走り回ってしまうのは、
お人好し以外のなにものでもない。
そんな依頼人、ほっとけよ、
と声をかけたくなるのだが。
何度でも言いたくなる、
「ハムラ、アンタはえらいよ」と。
そこまでして走り回るのは、
「ホントのところが知りたい」という好奇心の
なせる業か。
どこかネジの緩んだというか、外れた人物が
相も変わらず登場し、読んでいるこちらを落ち着かなくさせる。
なんでこんな思考回路?
なんでこんなことができるの?
と、葉村に代わって、こっちがヤキモキしている。
さらにさらに、来年一月から、
TVドラマ化されるのだという。
やめてほしいなぁ、実写化は嫌なのだ。
でも、葉村役はシシドカフカさんだと聞き、
なら、いいやと、手のひら返しをしてしまった。
ファンなもんで…。