唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

「悪魔」のような弁護士、御子柴。夫殺しの罪に問われた母親の弁護依頼を受けることに…。中山七里さんの「悪徳の輪舞曲」を読む。

 

悪徳の輪舞曲 御子柴礼司 (講談社文庫)

悪徳の輪舞曲 御子柴礼司 (講談社文庫)

  • 作者:中山七里
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/11/14
  • メディア: Kindle版
 

 

 

何が正しいか、正義なのか、ではない。

すべては、「依頼人の利益」のためである。

 

徹底的に悪いヤツ。

 

 御子柴弁護士シリーズの第四作目。

 

今回の御子柴は、自分の過去と対峙する。

夫殺しとして起訴された母親の弁護依頼を引き受けるのだ。

 

かつては加害者であった御子柴。

そして、加害者の家族であった母親。

 

御子柴という人物に共感こそ抱かないし、

魅せられることもないが、

シリーズを追い続ける中で、

彼の、言い訳めいた気持ちの揺れのようなものを

感じることもある。

 

過去に直結する事件や、

贖罪の意味を問う事件など、

彼の心を揺り動かそうとするものは、

このシリーズに欠かせないところではあるが、

最後まで、冷静で冷徹で悪徳の彼であって欲しい。

 

ところで、今回の決着は、

終わりまで待たずとも、ああと、想像がついた。

それが、残念か。