深町秋生さんの「探偵は女手ひとつ」を読む。
サクランボの収穫など、仕事は便利屋めいているが、彼女はシングルマザーの女探偵。「えらい天気だなっす」。会話は山形弁で、ハードボイルドの雰囲気をゆる~くしてくれる。これまでにない新しいヒロインの誕生!
「探偵は女手ひとつ」というタイトルも、なんとも面白そうじゃありませんか。
タイトルばかりでなく、中みも保証モノ。
椎名留美は女手ひとつで娘を育てるアラフォーの
元刑事。
山形署時代に同僚と結婚し退職したが、その夫は殉職した。
娘を育てるため、探偵事務所を開く。
これまでの女探偵といったら、都会の中で
イイ女がスーパーヒーロインばりの活躍をするものが
多かったけど、子持ちの地方のオバサン(元刑事だけど)が、
地域特有のさまざまな事件に首を突っ込んで、解決していく
という、変化球設定。
だが、実に痛快で、あ~、読んでよかったと思える
作品なのであります。
まず、なんといっても、会話がオモシロイ。
山形弁まるだし。「ちょっと、寄っでぐが」とか…。
探偵といいながら、普段依頼されるのは、雪かき、サクランボの収穫、
デリヘル嬢の送迎代行、農家の手伝い、高齢者のおつかいといった
便利屋風の仕事ばかり。
そんな依頼の裏にも、ハードボイルド的な匂いのする事件が隠れている。
地域に根付く、子持ちの女探偵モノ。
とにかく、人としてカッコイイので、ぜひ、シリーズ化してくださいね。