唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

敬次郎の呪いに決着を、一挙にII、IIIを読んでみた。川崎草志さんの「呪い唄 長い腕II」と「弔い花 長い腕III」を読む。

 

呪い唄 長い腕II (角川文庫)

呪い唄 長い腕II (角川文庫)

  • 作者:川崎 草志
  • 発売日: 2012/10/19
  • メディア: Kindle版
 

 

 

弔い花 長い腕III (角川文庫)

弔い花 長い腕III (角川文庫)

  • 作者:川崎 草志
  • 発売日: 2014/04/08
  • メディア: Kindle版
 

 

 

「長い腕」シリーズのII、IIIと揃っているなら

一挙読みでしょ、というわけで、IIの「呪い唄」と、

IIIの「弔い花」を読み通した。

 

「呪い唄」が出たのは、第一作目が刊行されてから、

なんと、十一年後だというから、

一作目を刊行と同時に読んだとしたら、

その後、イライラし、諦め、そしてまったく忘れ去ってしまったのかもしれない。

 

今作は、かごめ唄に仕掛けられた敬次郎の罠で、

「弔い花」では…。

 

過去からの因縁がもたらす悲劇ということで、

このシリーズでは、過去の物語と、現代、進行中の物語が

互い違いに描かれていくという構成になっており、

二作目では、江戸末期に敬次郎が仕掛けた罠に、

勝凛太郎と、その父、小吉が関わっていく物語が

挟み込まれている。

 

勝凛太郎の物語は、これはこれで、面白く、

このまま、一本に仕上げてもらいたい感があったが、

敬次郎の罠としては、緩い感じがした。

 

一作目の、建築する屋敷に歪みを加え、

それが、代々、そこに住む人々の心を歪ませるという罠が、

強く印象に残ったせいか。

 

その歪みが効いて、長い年月をかけ、

旧家がジワジワと滅亡していくという壮大すぎる罠。

現代社会に生きる、呪いとは無関係な人々がそれに巻き込まれ、

命を落とし、あるいは人生を変えられる罠。

 

それほどに、恨みは深かったということだろうが、

虚しい罠だと思わざるを得ない。

 

 

 

そして、完結編。

敬次郎の呪いを、石丸が完結させる結末は…。

 

さらに、汐路という女性の生き方。

一作目は、彼女を中心とした物語ではあったが、

二作、三作目では、結局、傍観者だったような気はする…。