栞子さんと、大輔と、そして扉子の、本をめぐる新たな物語。二作目、今回は横溝正史作品。三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帖II~扉子と空白の時~」を読む。
ビブリア古書堂の事件手帖II ~扉子と空白の時~ ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ (メディアワークス文庫)
- 作者:三上 延
- 発売日: 2020/07/18
- メディア: Kindle版
前シリーズ、「ビブリア古書堂の事件手帖」が完結して、
あ~あ、と思っていたら、嬉しいことに、
新しいシリーズが始まっている。
栞子さんと大輔が結婚し、
そして、娘が生まれ…。
篠川家の血筋を引いた、
「本を読まないという選択肢はない」ほど本好きというか、
呼吸をするように本を読む扉子が加わった物語。
今作は、新シリーズの二作目になる。
これまでと同じように、
本にまつわる謎を、栞子さんが推理、解明するのだが、
今回の本は、横溝正史作品で、
それだけでも、テンションが上がった。
横溝作品は、若いころ、夢中になって読みふけったもの。
殺人の派手な舞台や、おどろおどろしい雰囲気、
ホラー小説よりもホラーで、
当時、一番ハマった、作家さんだった。
この世に存在していない「雪割草」と、
そして、「獄門島」の二作品が題材となる。
本にまつわる相談事をなんでも引き受けてきた
ビブリア古書店。
今回持ち込まれたのは、横溝正史の「幻の本」が
盗まれたというものだった。
物語は、扉子が、栞子さんの母親、
つまり祖母である篠川智恵子から、
大輔がしたためている「事件手帖」を持ってくるよう言われ、
ある店で祖母を待つプロローグから始まる。
この篠川智恵子という人、不可解だ。
前シリーズ七巻、すべて読んでも、
この人の真意、感情、思いがつかめない。
これまで栞子さんが関わった本にまつわるトラブルの
黒幕であったことも幾たびかある。
新シリーズでは、彼女はロンドンに住み、
大輔や栞子さんが、時々、ロンドンまで出かけ、
何か、手伝いをしているのだという。
それも、少々不可解。
煮え湯を飲まされたこともあったはずなのに。
そして、扉子の立ち位置だ。
まだ、今作でも、どんな役割を担うのか、
明らかになってはいないが、
篠川智恵子が扉子に接触してきたのは、
これから何かありそうで。
今後、徐々に、扉子が物語の中心に入り込んでくるのだろう。
副題に「~扉子と。。。」とあるのだから。
それはそれで、楽しみもあるが、
「ビブリア古書店の事件手帖」はあくまでも、
栞子さんと大輔の物語であって欲しいと思うのは、
違うか。