唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

栞子さんと、大輔と、そして扉子の、本をめぐる新たな物語。二作目、今回は横溝正史作品。三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帖II~扉子と空白の時~」を読む。

 

 

 

前シリーズ、「ビブリア古書堂の事件手帖」が完結して、

あ~あ、と思っていたら、嬉しいことに、

新しいシリーズが始まっている。

 

栞子さんと大輔が結婚し、

そして、娘が生まれ…。

 

篠川家の血筋を引いた、

「本を読まないという選択肢はない」ほど本好きというか、

呼吸をするように本を読む扉子が加わった物語。

 

今作は、新シリーズの二作目になる。

これまでと同じように、

本にまつわる謎を、栞子さんが推理、解明するのだが、

今回の本は、横溝正史作品で、

それだけでも、テンションが上がった。

 

横溝作品は、若いころ、夢中になって読みふけったもの。

 

殺人の派手な舞台や、おどろおどろしい雰囲気、

ホラー小説よりもホラーで、

当時、一番ハマった、作家さんだった。

 

この世に存在していない「雪割草」と、

そして、「獄門島」の二作品が題材となる。

 

本にまつわる相談事をなんでも引き受けてきた

ビブリア古書店。

今回持ち込まれたのは、横溝正史の「幻の本」が

盗まれたというものだった。

 

物語は、扉子が、栞子さんの母親、

つまり祖母である篠川智恵子から、

大輔がしたためている「事件手帖」を持ってくるよう言われ、

ある店で祖母を待つプロローグから始まる。

 

この篠川智恵子という人、不可解だ。

 

前シリーズ七巻、すべて読んでも、

この人の真意、感情、思いがつかめない。

 

これまで栞子さんが関わった本にまつわるトラブルの

黒幕であったことも幾たびかある。

 

新シリーズでは、彼女はロンドンに住み、

大輔や栞子さんが、時々、ロンドンまで出かけ、

何か、手伝いをしているのだという。

 

それも、少々不可解。

 

煮え湯を飲まされたこともあったはずなのに。

 

そして、扉子の立ち位置だ。

 

まだ、今作でも、どんな役割を担うのか、

明らかになってはいないが、

篠川智恵子が扉子に接触してきたのは、

これから何かありそうで。

 

今後、徐々に、扉子が物語の中心に入り込んでくるのだろう。

副題に「~扉子と。。。」とあるのだから。

それはそれで、楽しみもあるが、

「ビブリア古書店の事件手帖」はあくまでも、

栞子さんと大輔の物語であって欲しいと思うのは、

違うか。