心のこもったおいしい料理と、心をほっこりさせてくれる謎解きを…。近藤史恵さんの「ヴァン・ショーをあなたに」と「マカロンはマカロン」を読む。
この作品は、「タルト・タタンの夢」に続く二作目だ。
今作を読もうとしたときに、三作目の「マカロンはマカロン」が
出ていることに気づき、エイやぁと、一挙に読んでしまった。
街の小さなフレンチレストラン、「パ・マル」。
そこの三舟シェフの供する料理は、ただおいしいだけではない。
客に寄り添い、一瞬にして、癒してしまう。
小さなレストランのホールの中で、
ただのシェフと客ではない、それ以上の関係が築かれる。
だからこそ、こんなレストランに出会いたい、と、願ってしまう。
二作目には七つ、そして三作目には八つの物語が収められている。
「ヴァン・ショーをあなたに」では、
シェフのフランス修業時代のエピソードが描かれ、
少しずつだが、シェフ自身の物語を覗き見することができる。
個人的には、「ヴァン・ショーをあなたに」の
「マドモアゼル・ブイヤベースにご用心」が好きだ。
三舟シェフの恋(?)と、そして、普段はあわてず騒がずで、
冷静な態度を崩さないシェフの動揺する姿には、なんとも言えない
面白味がある。
次は、どんなメニューを紹介してくれるのか、楽しみだ。