唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

世界の旅に出られない今、各国のスイーツを堪能、ついでにホンワカ気分も味わって…。近藤史恵さんの「ときどき旅に出るカフェ」を読む。

 

ときどき旅に出るカフェ

ときどき旅に出るカフェ

  • 作者:近藤史恵
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: Kindle版
 

 

 

コージーミステリーというジャンルに入るのだろうが、

もっと軽めな感じ。

なにしろ、十編も収録されていて、すごく得した気分になる。

 

この作家さんの作品、「ビストロ・パ・マル」シリーズと

似たようなテイストだ。

 

読んで決して嫌な気分にはならない、それどころか、

ふんわりとした空気に包まれ、心が満ち足りたような感じ。

安心して、お勧めできる作品の一つだろう。

 

足を踏み入れたことのない店に入るには勇気がいる。

 

エイヤッと入って、その店で、

自宅のリビングにいるかのような落ち着きが得られるとしたら、

どんなに素敵なことだろう。

 

そういう店にはなかなか出会えないし、

行きつけの店さえない。

 

このお話は、三十代後半の独身、仕事に生きているわけでもない、

一人でいることに慣れてしまった瑛子が、

自宅近所にカフェを見つけ、そこに足を踏み入れたところから始まる。

そのカフェは、職場の元後輩、円が経営する店だった…。

 

その店、「カフェ・ルーズ」では、

世界の珍しいスイーツやドリンクを手作りで供している。

 

瑛子は、円から聞く、海外のスイーツの話、そして店の

居心地の良さに魅せられて、いつしか、常連に…。

 

客が持ち込むさまざまなトラブル、男女のもつれや、

人間関係のゆがみ、そうしたものが、

いつの間にか、するするとほどけていく…。

 

円の柔軟な生き方や考え方が眩しい感じであり、

同時に、瑛子の脇役的だが、落ち着いた雰囲気が好ましい。

 

できれば、続編を、お願いします。