唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

カメラマン兼探偵の辰巳が、愛車のワーゲンバスで日本をさすらう…。寄り道した街で事件に遭遇し…。香納諒一さんの「見知らぬ町で さすらいのキャンパー探偵」を読む。

 

さすらいのキャンパー探偵 見知らぬ町で (双葉文庫)

さすらいのキャンパー探偵 見知らぬ町で (双葉文庫)

  • 作者:香納諒一
  • 発売日: 2019/11/28
  • メディア: Kindle版
 

 

 

「さすらいのキャンパー探偵」シリーズの

三冊目だそうだ。

 

ジャンルとしては、どうだろう、探偵モノで、

ハードボイルドに入るのだろうか。

 

だが、ゴリゴリのハードボイルドのように、

乾いた雰囲気ではない。

むしろ、ロマンチック、あるいはセンチメンタルな感じだ。

 

「蒼ざめた眠り」に登場したカメラマン兼探偵の辰巳翔一だが、

いつの間にか、「さすらいのキャンパー」になっていた。

 

愛車のワーゲンバスを駆って、日本のあちこちを旅する

探偵の物語に変化していた。

 

「蒼ざめた眠り」の辰巳とは、どことなく、雰囲気が違っていたが、

このシリーズの辰巳の方が、好きかもしれない。

 

寄り道した街で出会った人々のちょっとしたトラブル、

たまには、殺人事件に遭遇、巻き込まれる形、

でも、脇役的立ち位置で、真相へと導く。

 

重く、昏い感じはなく、人の感情の行き違いといったものが、

海辺に沈む夕日の情景をまじえて、情緒豊かに描かれている。

 

かまえて読まなくてもいい、ちょっと、ウェットな

ハードボイルドである。