唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

サニワとして、仙龍の悪しき因縁を断ち切ろうと覚悟を決める春菜、感動モノです。内藤了さんの「怨毒草紙 よろず建物因縁帳」を読む。

 

怨毒草紙 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)

怨毒草紙 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)

  • 作者:内藤了
  • 発売日: 2020/06/18
  • メディア: Kindle版
 

 

 

「よろず建物因縁帳」シリーズも、もう七作目。

 

今作は、仙龍を始めとする鐘鋳建設の男たちの活躍が、

少々、地味だったこと、

春菜の天敵、「パグ」こと、長坂所長と春菜の

丁々発止のやり取りが見られなかったこと、

物足りなさはいろいろあるが、

ともかく、春菜の成長が胸にジーンときた。

 

仙龍の悪しき因縁を断ち切ろうと決意する、

春菜の覚悟、その潔さにドキドキした。

 

そして、小林教授が語る民俗学の話は、いつもながら興味深い。

 

因と縁は、一朝一夕に成るものではなく、

長い時をさかのぼったその先から続く、

あるいは、積み重なるものだということ。

 

さらに、教授の昔の人々は、「自然の摂理に逆らうことなく、

それを活用する術を心得ていた」という言葉心に染み入る。

 

摂理に逆らう現代の私たちは、もはや、

自然の仲間からはじき出されているのかもしれない。

 

人間は、「不自然な生き物」として、

この命をどこに運ぼうとしているのだろうか。

 

隠温羅流の因縁を調べようと心を固める春菜、

そろそろ、導師に課せられた過酷な運命にまつわる謎が

解き明かされていくのだろう。

 

次回が待ち遠しい。