青春ミステリー、じゃなくて、やっぱり刑事モノ、だと思いたい。ヒキタクニオさんの「こどもの城殺人事件」を読む。
作品の紹介文に「青春ミステリー」とあった。
普通に、「青春ミステリー」と言ってしまうと、
明るく、切なく、だけど、爽やかな余韻があって…、
みたいなイメージがあるのだが、
「青春」なんて、結構、ドロドロ、グチャグチャしているもので、
そんなに、爽やかでライトな感じではない。
この作品、ワタシ自身は、警察小説という目線で楽しんだ。
というのも、今の’若い子たちの心模様や思考、行動には
ついていけないという感じで、
理解したいという思いはあるが、
歩み寄ろうとしても、後ずさりされるか、
良い外面だけ見せられるという結果になりそうで、
メンドーくさいと思ってしまう。
それよりも、大人の、女刑事、盛や、
後輩の小見山のほうが、より分かりやすく、
共感しやすく、そして、魅力的である。
そう、ここに登場する大人たちのほうが、
若い子より、数段、素直で熱いのだ。
盛や小見山が、高校生に真摯に向かい合い、
刑事としての職務を果たしながら、彼らを理解しようとする姿勢が、
言葉が的確とは言えないが、「爽やか」だった。
名門私立高校の学生の五人グループ。
髪も染めず、制服も気崩さない、何の問題もない子たち。
だが、街に出ると、「当たり屋」的に恐喝を行い、
ドラッグに手を出し、日々を過ごしていた。
だが、グループのリーダーだった聡吾が、
青山のこどもの城跡地で、死体となって発見される。
捜査が進むうち、ヤクザとの関係など、グループの
裏の顔が暴かれていく。
そして、聡吾の親友、後宮周平が容疑者として浮かぶが、
周平は、ふてぶてしい態度を崩さず、否認し続ける…