香納諒一さんの「完全犯罪の死角 刑事花房京子」を読む。
事実を一つ一つ丹念に確かめ、推理を構築し、
そしてまた、確かめる。
刑事は「ニコイチ」が原則だが、
彼女は一人で、粘り強く関係者の聞き込みに回り、
徐々に真実へと近づいていく。
それは、犯人にとっては、不安を増幅する崩壊への足音のようだ。
花房京子は、警視庁捜査一課の女刑事。
描写によると、身長一七五センチはあるかと思われる
大柄な女性だ。
洞察力、観察力はハンパないから、
鋭利な刃物のようなキャラかと思いきや、
のほほんと、あるいは飄々としていそうな感じ。
仲間からは、「のっぽのバンビ」などと呼ばれている。
物語は、老舗の家具屋「沢渡家具」の社長である
沢渡留理が異母兄の要次と、その秘書で愛人でもある
福田麻衣子を殺害するところから始まる。
いわゆる倒叙モノ。
ここまで来ると、ワタシたちは
ある有名な警部補の姿をイメージする。
ま、あちらは、小柄で学生と間違えられそうな
風貌なのだが。
この作品の続編が出るのだとしたら(期待はしている)、
倒叙モノシリーズが読めるのだろうか。