長沢樹さんの「月夜に溺れる」を読む。
なかなか面白いキャラ設定。
神奈川県警生活安全部に所属する真下は優秀な女刑事だが、
恋愛体質であるところが玉に瑕。
バツ二。相手はどちらも同じ警察官で、
それぞれとの間に一人ずつ子供がいる。
現在は、二度目の結婚でできた娘を引き取り、
子育て中だ。
さらにさらに、殺人事件の被疑者とは知らずに付き合い、
アリバイ作りに利用される始末。
これだけだと、どこが優秀なんだと思うのだが…。
情にほだされっぱなしというわけではなく、
犯行におけるほころびを冷静に突いていき、
真実にたどり着く。
二番目の元旦那からは、
「…は君がいなくても、君以外の誰かを利用して殺人を実行しただろう。
…君でよかったんだ。隙があるんじゃない。君には犯罪者を誘引する
何かがあるんだ。それは君の才能であり、早期解決は君の成果だ」と、
慰められる。
問題児ではあるが、上からは結構、頼りにされている。
部内ではどこの班にも属さず、課長や中隊長の預かりで、
応援を命じられれば、どこへでも飛んでいく、言うなれば、遊軍扱い。
四つの事件が描かれるが、
十代の少女たちの危なげだが、大人顔負けの犯罪、
そしてやるせなさや哀しみが見えてきて、少々、せつない。