昆虫の知識が半端ない、村のお巡りさんが大活躍。大自然の中でうごめく人の欲望の行きつく先は…。平野肇さんの「昆虫巡査 蜉蝣渓谷殺人事件」を読む。
虫の生態から事件の謎に迫る物語は、
真っ先に、川瀬七緒さんの「法医昆虫学捜査官」シリーズを思い浮かべる。
こちらは、九州の大分にある村の、
虫に詳しい駐在さん、向坊巡査が活躍するお話。
ある事件をきっかけに、向坊巡査と知り合う、
ライター、矢張がワトソン役を務める。
矢張が見つけた白骨遺体から、
事件は複雑さを増していく。
この主人公にはモデルがいるということで、
余計にワクワクしてくる。
それを知って、向坊のキャラの魅力が倍増した。
向坊に魅入られる矢張もいい。
土に埋もれた遺体は、虫が「掃除」をし、
自然に帰っていく。
人も、自然の仲間であっていいんだな、なんて、
関係ないことを考えてしまった。