大倉崇裕さんの「琴乃木山荘の不思議事件簿」を読む。
血なまぐさい事件が起きるわけでもなし、
性格がねじ曲がった、でも、天才的な名探偵がいるわけでもない。
スリルとサスペンスに満ち溢れ、てもいない。
だが、知らない間に読み終わっていた。
山岳小説も多いこの作家さんならではの、
そして、「福家警部補」シリーズでも有名なこの作家さんならではの、
なんか、気持ちのいい読後感だった。
幽霊、人魂、魔物、消えた登山者、消えた看板など、
ちょっとした(そうでもないものも)不思議を描いた
七編の連作モノ。
魅力的なキャラの持ち主たちの登場もぬかりなく、
裏切られることもない。
安心して読んでいられる。
主役は、琴乃木山荘でアルバイトをする棚木絵里。
奥深さを感じさせる山荘オーナーの琴乃木正美。
そして、探偵役を務めるのが、ベテランアルバイトの石飛匠。
この三人が、七つの不思議に挑む。