アサヒとユウヒが犯した罪は、そして、その罰は…。「軽薄な」お巡りさん、狩野の活躍がまた、見られる?降田天さんの「朝と夕の犯罪」を読む。
はるか昔から、連綿と続く人の悪意。
親子だからか、親子であることが、その悪意を呼ぶのか。
それなら、動物のように、そして悪意が生まれる前に、
その絆を断ち切るべきなのではないか。
虐待の連鎖。虐待で塗りつぶされている。
心に重くのしかかり、そして、切ない物語だ。
子は、力を持たない幼子は親にすがり、親に振り回され、壊れる。
この登場人物で、罰を受けなければならないとしたら、
最初から最後まで、傍観者であり続けた「松葉修」じゃないだろうか。
結末での、彼の立ち位置は解せない。
神倉駅前交番のお巡りさん、狩野雷太が主人公の続編だと思ったが、
今回は、どちらかというと脇役、だが、やはり、名探偵であることは、
変わりなかった。
相棒の「みっちゃん」こと、月岡の出番は少しだけだったのが、
不満と言えば不満。
父親と、「弟」のユウヒと一緒に車上生活を続けていたアサヒ。
三人だけの世界で生きてきた。
だが、父親の死でその世界は終わりをつげ、
アサヒとユウヒは、ばらばらになる。
そして十年ぶりに二人は再会し、
アサヒは、ユウヒが持ちかけた犯罪の片棒を担ぐことになる…。