佐藤青南さんの「行動心理学捜査官・楯岡絵麻 ストレンジ・シチュエーション」を読む。
ストレンジ・シチュエーション 行動心理捜査官・楯岡絵麻 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 作者: 佐藤青南
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2017/03/04
- メディア: 文庫
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「エンマ様」シリーズ五冊目。
四つの事件が描かれる。
取調室内での犯人との攻防が多かったが、
現場に飛び出しての活躍も目立ってきた感じだ。
舞台がどこになろうと、エンマ様の観察力、洞察力はいつも通りで、
相棒、西野とのやり取りも相変わらず楽しませてくれる。
警察官の拳銃自殺が発端となった第一話。
ある民家で、五十代の夫婦が二人組の強盗に殺害された。
外出先から戻った夫婦が強盗と鉢合わせになったものと
考えられる。
捜査が進むうち、拳銃自殺した警官、宮田が
犯人の一人である疑いが濃くなってきた。
捜査一課刑事、綿貫は、同期の宮田が殺人犯であるという
疑いを受け入れられない。
そんな中、宮田の共犯であるという男が出頭し、
強盗には入ったが、夫婦を殺害したのは宮田だと主張する…。
しかし、この事件には、大きな闇が隠されていた。
行動心理学を駆使して、犯人の嘘のほころびを見つけ、
真実を言い当てるのがこれまでのエンマ様の魅力だが、
この作品では、事件の真実に迫っても追求をやめてしまう
エンマ様が描かれる。
筒井に捜査を続行しないわけを尋ねられたエンマ様は
「見たくないんです。見てしまったら、調べないわけには
いかなくなる。そうなると、たぶん誰も幸せにならない。」
こんな面もあるのね、エンマ様…。