唯一ノ趣味ガ読書デス

ハードボイルドや刑事モノばっかりですが、読んだ本をご紹介。

佐藤青南さんの「行動心理学捜査官・楯岡絵麻 ストレンジ・シチュエーション」を読む。

 

 

 

「エンマ様」シリーズ五冊目。

 四つの事件が描かれる。

 

 取調室内での犯人との攻防が多かったが、

現場に飛び出しての活躍も目立ってきた感じだ。

 

 舞台がどこになろうと、エンマ様の観察力、洞察力はいつも通りで、

相棒、西野とのやり取りも相変わらず楽しませてくれる。

 

 

警察官の拳銃自殺が発端となった第一話。

ある民家で、五十代の夫婦が二人組の強盗に殺害された。

外出先から戻った夫婦が強盗と鉢合わせになったものと

考えられる。

 

捜査が進むうち、拳銃自殺した警官、宮田が

犯人の一人である疑いが濃くなってきた。

 

捜査一課刑事、綿貫は、同期の宮田が殺人犯であるという

疑いを受け入れられない。

 

そんな中、宮田の共犯であるという男が出頭し、

強盗には入ったが、夫婦を殺害したのは宮田だと主張する…。

 

しかし、この事件には、大きな闇が隠されていた。

 

 

行動心理学を駆使して、犯人の嘘のほころびを見つけ、

真実を言い当てるのがこれまでのエンマ様の魅力だが、

この作品では、事件の真実に迫っても追求をやめてしまう

エンマ様が描かれる。

 

筒井に捜査を続行しないわけを尋ねられたエンマ様は

「見たくないんです。見てしまったら、調べないわけには

いかなくなる。そうなると、たぶん誰も幸せにならない。」

 

こんな面もあるのね、エンマ様…。