吉川英梨さんの「警視庁『女性犯罪』捜査斑警部補・原麻希 蝶の帰還 上下」を読む。
「女性犯罪捜査斑」シリーズの五冊目。
「ハラマキ」シリーズなら、通算十冊目。
秘匿捜査斑時代の悪夢がよみがえる。
下北沢で女性の死体が発見されたが、
その現場の住所、そして現場に残された張り紙、
それは八年前、麻希たちを苦しめた「アゲハ」事件に
あまりにも酷似していた。
さらに、「アゲハ」事件を踏襲するように、
公安刑事襲撃、爆破テロが続くと思われたのだが…。
「アゲハ」事件では、麻希の子どもたちが誘拐された。
今回も警察官の子どもの誘拐があるのか…。
伝説のテロリスト、「アゲハ」の行方は…。
女性犯罪捜査斑の面々は相変わらず個性的。
個性的過ぎて、バラバラのように見えるチームだが、
その繋がりは感じられる。
ただ、登場人物が多いからか、視点が散在して、
全体的にぼんやりとしてしまったような。
そして、公安警察、公安刑事の在り方が、
いまわしいものに見えてくる。
だが、「アゲハ」の想い、強さには感動を覚えた。