毒舌満開、イタズラ好きな、悪魔のような9歳の姪、賢一は振り回されっ放しで…。深水黎一郎さんの「テンペスタ 最後の七日間」を読む。
まあ、こんな小学四年生がいたら、
極力、お近づきになりたくない、ならないようにしようと、
読みだしてすぐに思ってしまった。
遠巻きに見ている分には楽しい。
大人が、振り回されるサマも面白い。
大学で美術の非常勤講師を勤める賢一は、田舎にいる弟から
姪のミドリを一週間預かってくれと頼まれる。
そして、賢一の目の前に現れたのは、
口の達者な、というか毒舌満載、イタズラ好き、
大人をけむに巻いてニヤニヤしている、
そんな、剣呑な、でも見た目は可愛い女の子だった。
ミドリが登場した時点から、
ミドリの圧倒的なパワーと、頭の回転の早さ、
語彙の豊富さ、大人顔負けのシニカルさ、
賢一は、すべてに振り回される。
だが、賢一の気の良さか、
生真面目な性格からか、
下手にごまかさず、いい加減に扱わず、
真正面からミドリに対峙することで、
徐々に、二人の間に、絆が生まれてくる。
そして、ミドリが田舎へ戻る最後の日、
思いがけない事件が起こる…。
ミステリーというより、家族の物語か…。