藤崎翔さんの「神様の裏の顔」を読む。
スッキリ決着、ほっこり結末をお望みの方にはお勧めしませんが、どんでん返し、大いなる騙しにニヤッとできる方にはおススメです!
いい人→裏の顔という図式はよくある話だが、
ひねりがあって、予測はつかなかった。
実はこの作品、一度放り投げている。
登場人物の回想と疑惑が繰り返され、
どうにも読みにくくなり、途中退場した。
だが、時間をおいて、なんとなく再度手に取り、
読むうち、途中退場するのが惜しくなった。
気づいたら読了してしまっていた。
聖人君子、誰に対しても優しく、頼りになる「神様」のような元教育者、
坪井誠造が逝去し、葬儀が執り行われる。
近隣の住民、元教え子、坪井が所有していた
マンションの店子などが葬儀に参列し、
悲しみにくれる。
一人一人が故人を偲び、交流を思い出す中で、
だんだんと、坪井の行動や生活に疑惑を感じ始めるのだ。
そして、参列者たちは、お互いに疑惑を吐き出し、
ある驚くべき推理を組み立てていく。
そして結末には、思わぬどんでん返しが用意されている。
どちらかというと、「イヤミス」よりで、どうも、座りの悪い感じがする。
もちろん、どんでん返しの醍醐味は味わえたのだが、
始末のつけ方が「ふ~ん」という思い。
ま、それもこれも、作者の術中にはまったからなのかもしれない。
スッキリした決着、ほっこりした結末をお望みの方向きでは
ないとは思うが。