東直己さんの「半端者」を読む。
呑んだくれの「ごく潰し」。
ススキノを、はしご酒しながら、スイスイと泳いでいく。
ススキノの便利屋探偵<俺>の若き日の物語だ。
北大生の<俺>だが、その後の<俺>は、
この頃と殆ど変わらない。
高田や、周囲の飲み屋との付き合い方にも
変化はない。
変わったところがあるとすれば、
少しは度胸がついて、強くなった?
でも、潔いほど、生き方にブレはない。
トラブルに巻き込まれ、ススキノを走り回る
「今」のようなヒリヒリ感はないが、
厄介ごとに首を突っ込み、ボコボコにされたり、
「まだ、ガキだ」と落ち込んだり。
多少の初々しさがある。
降ってわいたようなラブストーリーもあり、
若い時代の尻尾のようなものが感じられ、
これはこれで、面白くもある。
近頃の<俺>シリーズでは、あまり顔を見せないが、
<ケラー>のマスターの登場シーンが多いのは
嬉しい。
時には鋭さを見せたり、若き<俺>に説教したり。
教育者ではない、こういう飲み屋のオヤジが
若者には必要かもしれない…。