妙に気になる二人の関係…。谷瑞恵さんの「異人館画廊 贋作師とまぼろしの絵」を読む。
図像学という学問に興味はひかれたが、
世界の歴史やら、美術やら、哲学やら、宗教やら、
細かいことが分かっていないと、読み解くのは困難だということを知る。
ワタシなどは、この作品を通して、
サラっと、表面に触れさせてもらえるだけのほうが、
無難かもしれない。
絵画は好きだが、読書と同様、作家やジャンルに偏りがある。
だが、これまで触れてこなかった世界に、少しでも、
触れられるのは面白い。
贋作も、ミステリーのネタになる。
呪いの絵と結びついたところも興味深い。
ただ、物語の重要な部分となる、此花千景と、
幼馴染の西宮透麿との関係が、まどろっこしい。
千景も、透麿も、厄介な性格の持ち主で、
外から物語を俯瞰する読者をやきもきさせる
時間が長い。
それは、千景の過去の事件や、両親との関係性が
影響しているせいなのだろうが。
まどろっこしいが、これも、核となる部分だと考えれば、
仕方ないのかもしれない。
二人の関係も謎に満ちており、行く末が気になる所ではある。
イタリア、マニエリスム期の画家、ブロンズィーノの
贋作の噂を耳した千景と透麿は、高級画廊の展覧会に入り込む。
展覧会には噂の贋作はなかったが、ある収集家が所蔵する呪いの絵画が、
展覧会で見た絵のタッチと似ていることがわかる。
呪われているかもしれない絵、透麿の昔の恋人の登場、
いわくありげな絵にまつわる話が飛び交う中、
自殺をした女性画家に贋作師の疑いが持ち上がる。